『ブンガワンソロ』 ■■□

監督:市川崑

終戦直前の南方戦線が舞台だが、戦争映画というよりはハリウッドの南国ロマンスもの(ドロシー・ラムーアがヒロインを演じる一連の作品と言えばピンとくるはず?)を想起させる作品。ただドラマ的には些か中途半端な感が否めない。というのも主要人物である三人の脱走兵の中で、久慈あさみが演じるジャワ人の娘と恋に落ちる池部良は主役にしては影が薄く、引き立て役である筈の伊藤雄之助森繁久弥の方が演技的にもキャラ造形的にも存在感があるからだ。ちなみにジャワ人家族はお転婆少女の若山セツ子や、母親役の高橋とよ(違和感なさすぎw)が印象深い。終盤に西部劇のようなダイナミックなカット割りの追走シーンがある。