『嫁ぐ日まで』 ■■□

監督:島津保次郎

父親の再婚と娘(原節子)の結婚の話という『晩春』の原型みたいなホームドラマ。ただ原節子演じるヒロインは、いつも割烹着を身にまとっている生活感溢れる女性で、性格も絵に描いたような大和撫子タイプ。『晩春』の紀子とは違い、かなり地味な存在だ。物語を活性化させるのはもっぱら妹の矢口陽子なのである。杉村春子(若い!)が学校の先生役で登場するのだが、映画ではいつも和服を着ている印象があるので、本作で見せるスーツ姿は実に新鮮だった。矢口陽子ら女学生が電車の中で公開中の映画の話題で盛り上がるシーンがあり、その作品がコリンヌ・リュシエール主演の『格子なき牢獄』であることが後にちょっとだけ映るパンフレットで分かる。*1

*1:『嫁ぐ日まで』は1940年製作の映画