『眠狂四郎無頼剣』 ■■■□

監督:三隅研次

監督・三隅研次キャメラ・牧浦地志、脚本・伊藤大輔、そして主要キャストが藤村志保天知茂とくればこれはもう文句の付けようがないというもの。柳の木の下で藤村志保(背中に落ちる影!)がゆっくり画面奥へと歩みを進めるのに合わせてキャメラもゆるゆると前進する何とも官能的なショット、書き割りの月夜の美しさ。天知茂はニセ円月殺法を使うシリーズ中でも屈指の好敵手だが、絶対受身の円月殺法同士では当然ながら勝負にならない。そこでクライマックスの対決は屋根瓦の上で行われることになる。こうなると勝負がついた後に敗者が屋根から転がり落ちるというのが正しいアクション映画の文法なのだが、天知茂は自分が落ちる代わりに手製の竹人形をバラバラと落とすのである(それを受け取るのは勿論ヒロインだ)。この辺はさすがの貫禄といったところか。藤村志保の回転式スッポンポン脱出(残念ながらふきかえ)も見物。やっぱり三隅時代劇は一味も二味も違う。