『眠狂四郎女地獄』 ■■■

監督：田中徳三

円月殺法による死者がでない（恐らくシリーズ中唯一）という異色作。二人の敵役（田村高廣と伊藤雄之助が好演）と狂四郎の、三つ巴のようでいてそうでない複雑微妙な関係性が面白い。「盲目」をテーマにエピソードが繋がっていく展開のユニークさ、霧深い林の中での虚無僧集団との殺陣や、最後の雪中の殺陣（狂四郎のクローズアップとロングショットだけで構成された大胆なモンタージュ！）など、見所は数多い。タイトル通り、女刺客が多数登場するのも本作の特徴だが、印象的な女優が一人もいないのが残念だ。