『あの頃ペニー・レインと』 ■■■

監督:キャメロン・クロウ

いろんな愛が詰まった、優しくて楽しくてちょっぴり切ない青春音楽ロードムービー。やはりキャメロン・クロウの映画にはナイーブで繊細な感性が、あざとくならず自然に滲み出ていて好感が持てる。若者のバイタリティーと脆さが瑞々しく描かれているが、フランシス・マクドーマンドフィリップ・シーモア・ホフマンという二人の芸達者なベテラン俳優が要所でいぶし銀の存在感を見せつけ映画を見事に引き締めている。終盤、睡眠薬の飲みすぎで医師に胃洗浄されるケイト・ハドソンの悶絶する姿を、パトリック・フィジットがじっと見つめる妙にエロティックなシーンが忘れがたい。そして劇中で流れる70年代ロックの名曲の数々!