『花芯の刺青 熟れた壺』 ■■■□
監督:小沼勝
「道成寺」に取り憑かれた人形師の女を谷ナオミが熱演。高低差を強調した室内空間でのセックス描写や、上下の高低差をなくす俯瞰ショットでのセックス(中丸信と北川たか子)と自慰(谷ナオミ)の同時描写など、美術セットを巧みに利用したキャメラワークと演出の妙はさすが小沼勝といった感じ。しかし何と言っても圧巻なのは、蟹江敬三扮する彫物師が谷ナオミに「道成寺」をモチーフにした蛇の刺青を入れるシークエンスだろう。ここで遂に谷ナオミの本領である忍耐の官能美が炸裂する。思わず息を呑むほどの激しく美しい濡れ場だった(照明も素晴らしい)。刺青が完成するや人格が一変し、痴女のごとく乱れ狂う様も良い。刺青がこれほどよく似合う女優もそうはいまい。蟹江と谷が初めて会うシーンや無数のガラス片に谷の乳房が映るショット(『上海から来た女』の映画的記憶か)も忘れ難い。
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盤質。画質良好。英題は『Tattooed Flower Vase』。リージョン1。予告編と小沼勝のフィルモグラフィー収録。オリジナル日本語音声のみ。英語字幕あり。
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2006/06/23
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