『白い娼婦 花芯のたかまり』 ■■■

監督:小沼勝

両足を失い、幻肢痛に苦しみながらも性欲旺盛な兄(しかもマネキン・フェチ!)と、高級娼婦として生活を支える妹のグロテスクな近親相愛を描いたロマンポルノ的な、あまりにもロマンポルノ的なメロドラマ。見所は最後の小沼的淫画の現出で、やはりフィックスのロングショット(望遠レンズを使って距離感を圧縮してはいるが)によるセックスの同時描写なのだが、特筆すべきは兄と妹が別々の男女(こちらはレイプで結ばれた異常なカップルである)と性交し、その行為を「見る/見られる」ことによって本物の愛を獲得するという幾重にも倒錯したカタチとして描かれている点が面白い。物語性を希薄化させた、映像主義的な作りは小沼作品の大きな特徴の一つだと言えるだろう。