『性談 牡丹燈籠』 ■■■
監督:曽根中生
怖いと言うよりは美しい怪談映画。ロマンポルノなので当然濡れ場もあるのだが、本作においては添え物的な印象が強く、むしろ濡れ場の描写が無駄に長いせいで作品が冗漫になっているとすら思えてしまう。エロを期待して見ると肩透かしを食うだろう。入盆の日、主人公の傘張り浪人が住む長屋に初めて小川節子と侍女がやってくるシークエンスが素晴らしかった。音響と照明の繊細な演出、構図の美しさ、青白く光る燈籠の造型、柔らかな風、たとえ低予算であってもスタジオシステムの職人たちにかかれば、このような端正で贅沢な映像を生み出すことができるのだ。[追記] 怨みや呪いによる復讐ではなく、ただ愛する男をあの世への道連れにするために現世に留まる幽霊というのも時代劇の怪談としては珍しいパターンと言えるのではないか。もっともこの話の元ネタは中国の伝奇らしいのだが。まあ何はともあれ古風な美女である小川節子に似つかわしい何とも品のある幽霊であった。
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- 発売日: 2007/12/21
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