『死霊のはらわた』 ■■□

監督:サム・ライミ

少年期のトラウマ映画。これのおかげでスプラッター映画が嫌いになった因縁の一本である。話の内容は完全に忘れていて、口から牛乳みたいな白い液体を吐き出す白目のゾンビだけが記憶に残っていたのだが、再見したら結構笑える映画(何となく予感はあったのだが)だった。冒頭、大型車と正面衝突しそうになったり、機械人形のようにぎこちなく手を振るだけの不気味な男二人組みと遭遇したり、木の橋にタイヤが嵌まって動けなくなったりと、死霊が待ち受ける山小屋に到着する前からツイてない主人公たちが哀れで滑稽だ。そして、彼らは食事も満足に取れないまま、死霊との不条理なバトルに巻き込まれていく。ここからはもう恐怖とグロと笑いが渾然一体となった密室*1ホラー・コントである。普通に怖いし、ゴア描写の連続なのだが、時折ふいに笑いが襲ってくる。しかもそれを提供してくれるのは常に死霊の側なのだ。この映画では死霊がボケをかますのである(それもかなりお茶目な)。クライマックスで粘土アニメーションが使われていたことも全く記憶になかったので新鮮だった(ここ、ゴキブリ苦手な人にはエグいシーンだろうな)。最後はヒネリも何もなくベッタベタだが、まあお約束の展開ということで。

20周年アニバーサリー 死霊のはらわた [DVD]

20周年アニバーサリー 死霊のはらわた [DVD]

*1:外にも何度か出るが、安全な場所へ逃げることはできない。外ではあっても死霊が支配する世界であって、外界とは隔絶された閉じた世界なのである