『憐 Ren』 ■■□
監督:堀禎一
『時をかける少女』をうんと地味にしたような青春映画だが、「親殺しのタイムパラドックス」と「平行世界」というSF設定が物語の面白さに全然結びついていないし、堀禎一作品の特徴である端正で息の長いキャメラによる静かな画面造型も、物語の退屈さを助長するものでしかない。職人肌の監督によるベタな娯楽作品に仕上げた方が普通に楽しめたのではないだろうか。前作『妄想少女オタク系』と同じく地方ロケの鄙びた風景は魅力的で、反復される自転車や公園バスケのショットも良かった。ちょっとだけ登場する子役の美少女も印象に残る。カメオで速水今日子が出てきたり、ヒロインの祖母を演じるのが宮下順子(エンドクレジットを見るまで分からなかった。道理でお祖母ちゃんとは思えぬ色気を発散していた筈だと大いに得心w)だったりと、ピンク出身の監督ならではのキャスティングも嬉しい。
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