『夜行列車』 ■■■■□
監督:イエジー・カヴァレロヴィッチ
久々の再見。やはりクールな湿り気を帯びたハリウッド的メロドラマにたまらなく惹かれる。狭くて静かな夜行列車というノワール的空間と激しく流れていく外の景色(ほとんどスクリーン・プロセスだが、通路を縦に見せるシーンの景色はロケ撮影か?)とのコントラストも良いし、人物造型(というよりも俳優自体)も魅力的だ。車窓から吹き込んでヒロインの髪を揺らす風も印象深い。終着点がバルト海沿岸の保養地で、開放感があると同時にどこか寂しさが漂う美しい海岸風景は、この物語の最後を飾るに相応しい素晴らしいロケーションである。空っぽになったコンパートメントを滑らかに横移動するキャメラに優しく被さる物憂げなスキャット、何度も見ても素敵なラストシーンだ。映画好きで良かったと思える瞬間でもある。
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盤質。画質はまあまあ。特典はフォトギャラリーのみだが、ブックレットの中の久山宏一氏による「ポーランド映画『夜行列車』−鉄道・映画・人間−」という文章が秀逸だった。ただカヴァレロヴィッチのフィルモグラフィーがなかったのは残念。
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2010/06/26
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