『子供の情景』 ■■□

監督：ハナ・マフマルバフ

イランと言えば検閲制度を逆手にとったメッセージ性豊かな児童映画の佳作が多く、本作もその点では同じなのだが、アフガニスタンが舞台というだけでこうも残酷で痛々しい寓話になってしまうものかと見終わって暗澹たる気持ちになってしまった。子供の戦争ごっこと言えば大林宣彦の『野ゆき山ゆき海辺ゆき』を思い出すが、あくまで童話的な枠組みの中で行われている無邪気な遊びだったのに対して、『子供の情景』では本当の戦争が日常化している世界で行われる遊びであり、そこには「ごっこ遊び」を超えた恐ろしいリアリティがある。主人公の少女が最後に取る行動がアフガニスタンで生きる弱い人々の姿を象徴しているのかと思うと、ただ頭を垂れて深い溜息をつくしかない。

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