『イングロリアス・バスターズ』 ■■■■

監督:クエンティン・タランティーノ

第一章のファーストショットでいきなり泣きそうになる。西部劇好きにとっては反則以外の何物でもない、憎らしいほど素晴らしい導入部だ(何度だって見たい!)。本作でも「会話劇の達人」タランティーノの手腕が遺憾なく発揮されていて、特に「ユダヤ・ハンター」クリストフ・ヴァルツとアウグスト・ディール、この二人のゲシュタポが登場する場面のスリリングかつユーモラスな会話劇の面白さは格別だ。セルロイド製フィルムを使った暗殺テロというアイデアも実にタランティーノらしい。このシーンを見ていたら、引火した無数のフィルム缶が夜空に花火のように舞い上がるという蓮實重彦が夢想した幻の映画企画のことを思い出した(どの本に書いてあったかは失念)。レンタルだけで済ますのは勿体無い。ぜひブルーレイで手元に置いておきたい作品である。