『タルチュフ』 ■■■□

監督:F・W・ムルナウ

ミツバチのささやき』冒頭シーンそっくりのショット(移動映画の馬車が、はしゃぐ子供たちに先導されながら街へとやってくる)には思わずニンマリ。後にフィルムノワールへ受け継がれる陰影の濃い画面造型の室内劇、屋敷の上と下を繋ぐ大きな曲線を描いた階段の使い方見せ方、グロテスクまたはエロティックなクローズショットの数々などムルナウの魅力を堪能。それとローザ・ヴァレッティという女優が演じる老家政婦が強烈だった。シュトロハイムの『愚なる妻』に出てくる性悪家政婦デイル・フラーが可愛く思えるくらい。エミール・ヤニングスの怪演以上に印象的な強面オバサンであった。