『借りぐらしのアリエッティ』 ■■■

監督:米林宏昌

爽やかな小品。やっぱりジブリは猫が活躍しないとね。美術も素晴らしかった。あとアリエッティの父親がシブい。歴代ジブリのオトっつぁんでは1番カッコイイかも。アリエッティと交流を結ぶ翔は、最近のジブリ定番の美少年(しかも寝床でバーネットの『秘密の花園』を読むような)だが、複雑な家庭環境に育ち、しかも重い心臓病を患っていて、単なる心優しい少年ではない心の闇を抱えている。それが暴力的に表出した小人の家のキッチンを交換するところは思わずギョッとなる印象深いシーンだ。それとハルという老女中。声が樹木希林という時点でまともな人間でないことは明白なのだが、ジブリに出てくる老女は善人というお約束を覆すキャラ造型でなかなかインパクトがあった。最後にアリエッティについて。髪を洗濯バサミで留めている時のジブリ的ヒロイン像に納まる彼女よりも、普段の髪を下ろしている時の大人びた雰囲気のアリエッティがとても魅力的だった。