「エヴァ復活祭」第6夜

第拾壱話「静止した闇の中で」(英題:The Day Tokyo-3 Stood Still)

ネルフ本部が大停電し、混乱の最中に使徒が襲ってくるという緊迫したシチュエーションをユーモラスに描いた傑作エピソード。世界最高の科学力を駆使した施設でアナクロニズムが炸裂する様が可笑しい。タラップ、うちわ、蝋燭、ディーゼルに肉体労働、そして極め付けの防火用バケツ&水(笑)。戦闘シーンでは3体のエヴァによる鮮やかなコンビネーションが見れる。もうひとつ見所と言えば緊急事態の中、呑気に選挙活動する車の存在だ。実は本エピソードの作画はあのジブリが担当していて、選挙カーはその刻印の役割を担っている。運転手とウグイス嬢のデザインはジブリキャラそのもの。ちなみに候補者の「高橋覗」はジブリのプロデューサー・高橋望から取られている。英題はSF映画の古典「地球が静止する日」(The Day Earth Stood Still)のパロディ。

[我的EVA言行録]

「さすがは科学の街。まさに科学万能の時代ですね」by伊吹マヤ
「ヌルいな」「ああ・・・」by冬月コウゾウ碇ゲンドウ


第拾弐話「奇跡の価値は」(英題:She Said,"Don't make others suffer for your personal hatred")

葛城ミサトの胸にあるキズの秘密と、彼女がネルフに入った動機が分かる。このエピソードでは社交性がなく自意識過剰で配慮過剰なシンジの性格が強く描かれているのが特徴だ。そしてそれらはシンジがエディプス・コンプレックスであることと密接な関係にあることがやんわりと示される。だからゲンドウに「よくやったな」と言われたシンジは最後で「この言葉を聞きたい為に僕は戦っているのかもしれない」と言い、心のシコリが取れたように穏やかな安堵したような笑みを浮かべる。シンジというキャラクターがさらなる厚みを増した重要な回と言えるだろう。英題は劇中、赤木リツコがミサトに対して言うセリフ「自分のためでしょ、あなたの使徒への復讐は」から。大雑把に意訳すると「あなたの個人的な恨みで周りを巻き込まないでよ」と言った感じか。

[我的EVA言行録]

「奇跡ってのは、起してこそ初めて価値が出るものよ」by葛城ミサト
「肉嫌いだもの」by綾波レイ
「わたし、にんにくラーメンチャーシュー抜き」by綾波レイ
余談だが、このセリフは声優・林原めぐみのアドリブ。台本ではノリラーメンになっていたらしい。