「エヴァ復活祭」第7夜

第拾参話「使徒、侵入」(英題:LILIPUTIAN HITCHER)

このエピソードはエヴァ全編の中でも取り分けSF色の強い話だ。またシンジ以下3人のチルドレンは完全に脇役。かわりに赤木リツコスーパーコンピューター MAGIにスポットが当てられている。激しく飛び交う専門用語が独特の緊張と昂揚を生むあたり、医療ドラマ『ER』を彷彿させる。プロットに派手さはないが、人間の知恵と技術が、直面した危機をどう解決していくかをキレの良い、テンションに緩急を付けた演出でドラマティックに仕立上げているところは流石。「アクション編」の最後を、エヴァではなく人間によるアクションで締める点も実に庵野監督らしい。英題のLILIPUTIANとはスウィフトの「ガリヴァー旅行記」に出てくる小人のことで、HITCHERは”くくりつける”という意味。すなわち細菌サイズの使徒が模擬体やMAGIを縛り付けたことを指しているのだろう。

[我的EVA言行録]

「大丈夫、1秒近くも余裕があるわ」by赤木リツコ


第拾四話「ゼーレ、魂の座」(英題:WEAVING A STORY")

いわゆる総集編。とは言え、実に趣向を凝らした作りになっている。前半はエヴァ使徒パイロットの記録映像を人類補完委員会の召集会議で委員会メンバーとゲンドウが鑑賞しているというカタチで描かれる。同級生の感想文や手記が紹介されたりするところが面白い。ここで各使徒の名称が初めて明かされる。後半は綾波レイの心象風景(以前の映像を再利用した巧みな構成が秀逸)とそれに合わせて印象的な言葉が綴られていく。このコラージュ的手法と語りによる内的宇宙の表現は物語の後半どんどんエスカレートしていきエヴァンゲリオンという作品の大きな特徴のひとつになっていく。シンジとレイとエヴァの関係、ダミープラグ、アダム計画、ロンギヌスの槍、と新たな謎が噴出したところで終わる。英題の意味は「物語を紡ぐ」。つまり総集編のこと。

[我的EVA言行録]

「あなた誰?」by綾波レイ
綾波の匂いがする」by碇シンジ