『まぼろしの市街戦』

監督:フィリップ・ド・ブロカ

いかにもフランス映画らしい粋なエスプリのきいた戦争寓話、そして諷刺喜劇の大傑作。戦場である街の中で繰り広げられる狂人たちの華やかな宴が、軍人の軍人たる行為をトコトン滑稽なものへと変えてしまう。国家的、社会的な価値観がことごとく逆転することによって見えてくる人間性の真実。人が人らしく生きるための理想郷は塀の中の隔離された場所にしか存在しえない、というラストの皮肉が痛烈。ただテーマ性云々よりも、作品全体に漂うほんわかとしたムード、夢見心地のような浮遊感のある映像がたまらなく好きだったりして。ジョルジュ・ドルリューの音楽も良い。

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1さて、盤質。画質は良好。非スクイーズなので若干ジャギーが気になりますが、解像度、S/Nが高く、発色もなかなか鮮やかです。音質もまずまず。何と言ってもフランス語、英語に加えて日本語吹替えも収録されているのが素晴らしい。今回は吹替えで視聴してみましたが、広川太一郎を始めとする声優陣の演技は絶品でした。ちなみに差別的な発言のシーンでは音声が消えます。