『リュミエールと仲間たち』

復元されたシネマトグラフを使って40人のシネアストが映画の父・リュミエール兄弟へ「1カット52秒」のオマージュを捧げる。あまりにも原始的なキャメラで撮った1分足らずの映像にもきちんと各監督の個性が出ているところが面白い。合間に挿入される監督達の短いインタビュー映像も興味深かった。「映画は死にますか?」の問いに「物語はなくならない。物語への欲求は不滅だ」と答えるヴェンダース。「映画を撮る理由は?」の問いに「時の流れを緩やかにするため」と答えるアンゲロプロス。「映画を撮る動機は?」の問いに「映画は私の快楽だ。でも真剣にはなれない。子供のころ遊んだ遊園地のようなもの」と答えるキアロスタミ。一番印象に残ったのは最後を飾るアンゲロプロスのフィルム。どこかの海岸に漂着したオデュッセイアキャメラの存在に気が付く、ただそれだけの作品。その好奇と驚きに満ちた表情は、モノリスを前にした人類の姿を何となく連想させた。

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盤質をどうこう言う作品ではないのですが、あえて感想を言うならば"質素"この一語に尽きると思います。入手した素材を何のてらいもなくナチュラル製法で形にしました、という感じ(コラコラ)。ジャケットもDVDのメニュー画面もシンプルそのもの。16ページの解説小冊子が封入されています。ちなみにメーカは学研です。・・・教材なんですかね(笑)。この手の銀盤は人知れずヒッソリと廃盤になるケースがままあるので、気になる方は早めにゲットされるのが良いかと思います。