『東京物語』

監督:小津安二郎

もう何も言うことはありません。ここまで完璧に調和が取れ洗練された映画的世界が作られたことは本当に奇跡だと思う。それが家族という人間社会の最も基本的なテーマを扱っているということにより一層の感動を覚えずにはいられない。最後、一人部屋に佇む笠智衆。そこには言語では到底表現しえない"永遠の停止"が映し出されている。

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盤質。国内盤に比べるとややフィルム傷が目立ちますが、解像度、暗部階調の豊かさではクライテリオンの方が上。国内盤はちょっと黒が浮き気味で画調が明る過ぎる感じ。それと音。これはクライテリオンの圧勝でした。セリフの明瞭感、音声S/Nともにすこぶる良好。国内盤は音がこもり気味でセリフも鮮明さに欠けています。こうなると『晩春』『麦秋』のCRI盤も大いに期待できそうです。