『修道女』

三連休の間に観た映画は2本。

監督:ジャック・リヴェット

外界から隔絶された世界に否応無く押し込められてしまった少女の抵抗の日々を描いた寓話的な悲劇。ドラマティックな感情を排した厳格な演出、ほとんど室内だけで展開していくスタイルが、恐ろしいまでの重苦しさと息苦しさを生んでいる。修道院という名の牢獄で悶え苦しむアンナ・カリーナの鬼気迫る演技。その虚ろな瞳に被さる深い二重瞼は、ジワジワと少女の絶望感を観る者の心に沁み込ませていく。方針の全く異なる二つの修道院の対比、そのどちらも受け容れない少女によってあぶり出される宗教の欺瞞性。しかも自由を求めて外界へ飛び出したその先にもやはり自由はないのだ、という痛烈な皮肉に満ちたラスト。「人の世の不条理という条理」に溜息が漏れる。