『ハメット』

監督:ヴィム・ヴェンダース

ヴェンダースの呪われた映画。でも個人的には大好きな作品。猥雑な活気とけばけばしい色彩に満ち溢れ、迷路のように狭く入り組んだチャイナタウン。セットならではの味わい、ライティングもばっちりキマッている。緩慢なリズム、赤の多用、マジックミラーと透明の床、どこか宙ぶらりん状態の物語性とサスペンス性、曖昧さを残すラスト、言わばこれらのヴェンダース的な要素がアメリカ映画という枠の中に、はみ出す一歩手前で収まっている危うさが本作の魅力なんだと思う。ジャズピアノとサックスによる気だるい音色もたまらない。底光りする艶をもった犯罪ノワールの傑作。

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盤質。LD版とは比較にならないくらい高画質。映像S/N、解像度、発色、いずれも良好。黒もしっかり沈んでいる。音質も問題なし。他のヴェンダース作品もこれくらい高クオリティだったらなあ・・・。