『傷跡』

今夜からキェシロフスキ祭。

監督:クシシュトフ・キェシロフスキ

国営事業と住民と家族の問題に忙殺される工事責任者を追ったドキュメント風人間ドラマ。体制側に盲従できない官僚によってあぶり出されていく国の、柔軟性の欠乏、密室的な行政、言論の自由の束縛。当時のポーランドを支配していた社会主義政権に対する批判精神が色濃く滲んでいる。最後、主人公が執拗にヨチヨチ歩きの孫に立ち歩きを促す姿からは、"ソ連という鎖を断ち切り、一人歩きをしなければならない"という監督の想いが伝わってくる。その意味では1980年から始まる自由化運動「連帯」を予見した作品と言えるのかもしれない。ところで、まったく関係ないんですが、ポーランド(に限らず東欧諸国全般に言える事ですが)には美少女が多いですなぁ(笑)。

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盤質。残念ながら画質は相当に悪いです。黒潰れ&白飛び、色滲み、褪色、ノイズ、低解像度と悪い要素でないものはないです。まあこれは致し方ないでしょう。リニアPCM収録の音はなかなか良い感じでした。セリフの質感が生々しいです。