『座頭市牢破り』

監督:山本薩夫

チャンバラ活劇としては物足りないけれど、農民VSお上という基本的な対立構造を軸に、非暴力主義の浪人、善を装ったヤクザの親分、市を狙う隻腕のチンピラが絡んでくる一筋縄ではいかないドラマ構成は面白かった。中間的な立場で揺れ動く市の、存在の曖昧さも本作の特徴だ。凄腕の渡世人であるが故に背負わなければらない"業"に苦しむ市の姿が痛々しく描かれているせいか、作品の印象はかなり暗いものになっている(ただ、中盤の按摩屋でのやり取りだけは妙にコミカル)。西村晃演じるサディスティックな役人が良い。そこはかとなくいやらしい表情がナイス。

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盤質。解像度、発色、映像S/Nともにすこぶる良好。輪郭補正がキツめで、ほんの少し白点ノイズが見られるくらいです。音質も良く、セリフは明瞭。予告編集の『子連れ狼』に興奮。み、観たい〜。