『風の中の牝鶏』

監督:小津安二郎

敗戦による性倫理の乱れを、夫婦の危機と再生を描くことによって浮き彫りにする。小津映画独特のユーモア感覚は排除され、全編にわたって暗い雰囲気が漂っている。田中絹代の階段落ちという突発的な"動のアクセント"によって停滞していた物語が一気に収束へと動き出すところが良い。