『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』

監督:ピーター・ジャクソン

冗長かつ大味な点は前作『二つの塔』と同じ。物語ることに比重が置かれているので、各キャラクターの存在感がどうしても希薄になってしまっている。寄りとあおりを多用したスケール感のある攻城戦は確かに迫力があるけれど、それが無邪気な興奮、刺激というのとは違う質の感動でしかなかったのは悲しかった。やっぱり「優れたCGの質感はチープな実物の質感にも劣る」ということなんだと思う。それにしても従者サムのひたむきな頑張りには泣けた。実質的な主人公は彼だろう。人間たちが4人のホビットに感謝の意を込めて一斉に跪くシーンも良かった。