『座頭市御用旅』

監督:森一生

市つぁん、アヴァンタイトルで助産師になる。巻き込まれ&間違えられた男というヒッチコック映画の主人公みたいな境遇に置かれたり、ヤクザにあっさり捕まってリンチされたり、本作の市つぁんはどこか力弱い。居合い斬りも控え目だ。ローキーに徹した映像という陰の要素と、祭りの賑々しさという陽の要素の対比が面白い。獅子舞や油を使ったコミカルな殺陣もなかなか。三国連太郎が『牢破り』に続いて再登場、今回も屈折した親分(笑)。子分が石橋蓮司蟹江敬三。敵ながら純粋に一剣士としての矜持だけで市に挑もうとする高橋悦史の用心棒が爽やかな存在感を見せる。