『リリー・マルレーン』

監督:ライナー・ベルナー・ファスビンダー

映画的興奮を掻き立てる贅沢なメロドラマ。ソフトフォーカスによって描かれる甘美な悲劇。蝋燭の光の捉え方が尋常でなく美しくて妖艶。まるでキャメラが酩酊しているような不思議な恍惚感を伴った映像感覚が心地良い。鏡が頻繁に出てくるのも実に映画的で面白かった。ヒロイン演じるハンナ・シグラのちょっと形容し難い笑顔が印象に残る。歌声も雰囲気抜群、絶妙のヘタウマさ加減がたまらない(笑)。最後の方でダニエル・シュミットが出てきたのは驚いた。ん〜イイ顔してるなあ。