『ファーゴ』

監督:コーエン兄弟

やっぱ素晴らしい。オープニング、語り口の巧妙さ、雪と直線道路と車、巨大なポール・バニヤン像、ウィリアム・H・メイシーのイケてない写真(笑)、ヘンな顔のチョイ役たち、エピソードそのものが"マクガフィン"なマイク・ヤナギタ、ビュッフェでドカ食いするヒロインとその夫、好きなショットや細部はそれこそ山ほどありますが、トドメをさすのは何と言ってもスティーブ・ブシェーミ!この稀代の怪優あってこその『ファーゴ』でしょう。初めはイイ感じのワルだったのに、話が進むに連れてどんどん惨めになっていく様が何とも可哀相、いや滑稽なんです。全裸のままタコ殴り&首絞め、頬を銃撃され血まみれ、最後は斧で頭をかち割られるのですが、何故かその都度クスクスってなっちゃうんですよねぇ。まぁその時の所作と表情が面白すぎるからなんですが(^^; それと声。妙に甲高くて厭らしくて情けない声質なんですよ。ここまでユニークだと芸術的とすら言えますね(笑)。だからピーター・ストーメアに機械でミンチにされるシーンの「足」もそれがブシェーミのものだと想像するだけで、気持悪くなるよりも笑ってしまうというわけなんです。これはある意味、凄いと思う。そうそう言い忘れてましたが、北部特有の訛った英語も実に良い味出しています。特にメイシーの奥さんや、マクドーマンドの同僚の警官が強烈。彼らの字幕はズーズー弁にしてもいいかも(笑)。