『ダンス・オブ・ダスト』

監督:アボルファズル・ジャリリ

レンガ作りに従事する小さな村の日常を淡々と綴った映像詩。物語性はほとんど無くて、何度か映し出される少年と少女(うわっ美少女!)の視線の交わりが最も劇的な要素と言えるかもしれない。同じショットが繰り返し出てくるのが特徴で、その独特のリズムは韻文詩のような厳密さと様式美の世界を感じさせる。ただ、明らかに何かのメタファーと思われる印象深いショットの数々が、結局意味不明のままだったのが残念だった。象徴的なショットを用いることで、イラン社会が抱える苦悩の本質を抽象化しているということなのだろうか。とりあえず詩的な映像美は一見の価値あり。