『ミッドナイト・ラン』

監督:マーティン・ブレスト

80年代のアメリカ娯楽映画のパワフルな魅力!粋で痛快な大陸横断の逃走劇にして、ちょっと異色のバディ・ムービー。会話とキャラ造形と物語構成が抜群に面白いし、テンポも絶妙。この辺りは、さすが『ビバリーヒルズ・コップ』の監督と言ったところか。伏線の張り方なんて嫌味なくらいに巧い(ちょっとやり過ぎな感もあるけれど)。俳優陣のアンサンブルも最高で、デ・ニーロとチャールズ・グローディンの妙なテンションの掛け合いに始まって、FBIとマフィアの殺し屋と賞金稼ぎを交えた三つ巴ならぬ四つ巴の、賢いようなマヌケなような虚虚実実のドタバタっぷりが、疾走感たっぷりユーモアたっぷりに展開していくサマは何とも圧巻でありまた爽快でもあった。映画の呼吸がとんでもなく心地良いのだ。これはもう役者と脚本の勝利と言っても良いのかもしれない。愛すべきキャラクターと名セリフが沢山詰まった極上のエンターテインメント。たぶん『カウボーイ・ビバップ』は本作に多大な影響を受けているんだろうなぁ、と、ほとんど確信に近いものを感じちゃいましたね。