今日はパルテノン多摩で開催されている「イラン映画祭2004」に行ってきました。お目当ては今回が日本初公開となるモフセン・マフマルバフの『ボイコット』です。上映開始の15分前頃に到着したのですが、さすがに平日の午前中とあって客足はまばら、多分20人くらいだったと思います。ほとんど年配の方でしたね。さて、映画の感想なんですが・・・。いや〜たまげました。ずばり、演出がとんでもなく野暮ったい!(笑)。近年の洗練されたマフマルバフ・スタイルのイメージがあっただけに、けっこう衝撃的でしたねぇ。低予算丸出しのアクション・シーン、物語構成のバランスの悪さ、大袈裟な音楽の使い方、中途半端なユーモア。監督自身の投獄生活を元にした半自伝的な作品で、体制にボイコットされた人達の敗北を描いたとても重苦しい題材を扱っているのですが、今ひとつその深刻さがダイレクトに伝わってきません。あるいは検閲を意識して意図的に娯楽要素を強めた結果なのかもしれませんが、結局それが本作をバランスの悪い中途半端なものにしてしまっているのだとしたら、これはもう不運というしかありませんねぇ。ただ、投獄された主人公が精神を病んで、悪夢や幻覚に悩まされるシーンはなかなか面白かったです。鏡に映った主人公の顔に無数の蟻がうごめくショット(なんとアニメ処理!笑)はインパクト大でした。マジッド・マジディの大熱演(怪演?)も見所と言えば見所ですね。監督になったのは大正解だと思います(笑)。今やイラン映画界の巨匠とも言える作家の"若書き"ならぬ"若撮り"、いろんな意味で堪能しちゃいました。