『ナンニ・モレッティのエイプリル』

監督:ナンニ・モレッティ

屈折した陽気さで映画と戯れる、真面目な変人にして左翼主義者モレッティによる政治ドキュメンタリーを装ったプライベート・フィルム、と見せかけたエッセイ風フィクション(笑)。人を食ったような作品ですが、このモレッテ的と言うしかない特殊なスタイル、はっきり言って大好きです。TVに向って悪態つきながら巨大マリファナを咥えるシーン、『ヒート』のストーリーを毒たっぷりに要約するシーン、『ストレンジ・デイズ』を観て真剣に頭を抱え込むシーン、妻の出産後、泳ぐように踊り歩くシーンのロングショット、シルヴィオオルランドの情けない笑顔、くすくす笑いながらどんどん心が軽くなっていく、妙な心地良さがあるんですよねぇ。撮影がジュゼッペ・ランチというのも何気に凄い。