『騎兵隊』

監督:ジョン・フォード

物語的には今ひとつだし、アクション場面も『駅馬車』のようなダイナミックさに欠けています。さすがに馬の描写は絶品でしたが、ジョン・ウェインウィリアム・ホールデンは何か中途半端な感じ。でもコンスタンス・タワーズが良いんですよね〜。無骨なヤンキーどもを相手に一歩も引かない南部女の逞しさ!北軍の高官を招いた晩餐会での立ち回りなど、まるで一幕ものの上質な諷刺喜劇のような楽しさがあります。そんな彼女が捕虜の身となって北軍と行軍する内にどんどん弱々しい存在になっていくのですが、ある唐突(しかし、あたかもそれが当然の成り行きだったかのごとく)な展開を境にパッと再生してしまうシーンの何とも言えない痛快さ。つまりこの作品は、騎兵隊でもジョン・ウェインでもなくコンスタンス・タワーズの映画だったんですね。フォードはとかく「男の作家」というイメージで語られがちですが、女性を素晴らしく魅力的に描くこともできる作家なんだということが本作を観ただけでも良く分かります。正直、作品としては面白くありませんでした。でも最後、ジョン・ウェインがコンスタンス・タワーズの頭に巻かれた水色のスカーフをそっと外す場面のアップショットの美しさ!そのスカーフを首に巻いて爆破炎上する橋を背に颯爽と馬で走り去っていくジョン・ウェインの格好良さ!!そして、結局はこう呟いてしまうんです"これが映画なんだ"と(笑)。