『ホテル・ニューハンプシャー』

監督:トニー・リチャードソン

セックスと暴力と愛と死に彩られた黒い童話。清濁併せ呑むような世界は魅力的なんですが、濁が強すぎるせいか全体のバランスはどうもチグハグした印象。確かに各キャラクターの無邪気に病んでいるというか、飄々とした明るさが作品の暗さを緩和してはいるのですが、数々の出来事から生じる不快感を相殺するほどの効果はないんですよねぇ。愛犬の剥製とか、入れ歯の黒人娘とか、そういう感覚はわりと好きなんだけど(笑)。それとストーリー構成がちょっと雑な気がします。語り口がギクシャクしているので、大団円の感動的な幻想シーンも何か取って付けたような違和感を感じてしまいました。実を言うと、演出やキャメラにも不満タラタラだったりするのですが(^^; トニー・リチャードソンとは相性が悪いのかもしれません。ジョディ・フォスターロブ・ロウは良いですね。

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盤質。良くありません。解像度、S/N、発色いずれも標準以下のレベル。旧盤を持っていなので比較はできませんが、恐らくどっこいどっこいだと思われます。期待していただけに残念ですね。