『吸血鬼ドラキュラ』

監督:テレンス・フィッシャー

クリストファー・リーのドラキュラは雰囲気抜群で妖しげな色気も絶品ですが、それ以上にヘルシング教授演じるピーター・カッシングの冷静沈着で知性的な立ち居振る舞いにシビレてしまいました。ホラー映画と言っても恐怖演出は控え目で、心臓に杭を打ったり血を吸うシーンなどはむしろエロティックという表現の方がしっくりくるくらい。省略を多用したスマートな語り口といい、適度な抑制といい、実に上品で洗練された味わいがあります。ゴシックホラーの魅力であり醍醐味ですね。