『復讐は俺に任せろ』 ■■■■□

監督:フリッツ・ラング

これはグロリア・グレアムの映画ですね。圧倒的な存在感。観終わった後も彼女のイメージが脳裏に焼き付いて離れません。アンニュイな表情と声、顔半分を白い布で覆った異様な姿にも倒錯的な色気が漂います。最後、額にうっすら汗を滲ませた横顔のアップショットも忘れ難いですね。プロット自体は平凡ですが、簡潔でインパクトのある演出はさすがラングと言ったところでしょうか。リー・マーヴィングロリア・グレアムに沸騰したコーヒーを浴びせかけるシーンの極端な過激さ!でも復讐がテーマでありながら『仕組まれた罠』と同様、グレン・フォード演じる主人公は殺人を犯しそうで犯しません。つまり善人はあくまでも善人なんですね。この一貫した倫理性が素晴らしい。