『Helpless』 ■■■

監督:青山真治

処女作ならではの荒さが良くも悪くも魅力的ですね。ただ物語性を希薄にすることで、演出の鋭さを際立たせるあたりは非常にしたたかな野心を感じさせます。何の変哲もない鄙びた茶店が非日常的なサスペンス空間になってしまうから映画は面白い。投げ込まれる三輪車の唐突さ、ガラスの破片の存在感、ブレッソン的なショットの暴力性、スリリングな静寂と緩慢さ、白痴少女のあらゆる表情と所作、そして浅野忠信。いとも容易く一線を踏み越えてしまう凶暴な無表情の素晴らしさ。