『テオ・オン・テオ』 ■■□

詩人・池澤夏樹が1作品1問1答というルール(しかし2問目でアッサリ破ってしまう池澤氏^^;)でアンゲロプロスにインタビューをするドキュメンタリーです。まずは一言、86分は短すぎる!せめて1作品3問3答にして欲しかったかも(単純計算で4時間かぁ・・・)。冒頭、オフィスの書棚の上に置かれたアコーディオンキャメラが寄っていき、そこからアンゲロプロス作品の音楽が次々と流れるところが良いですね。途中「幕間」として挿入される家族とくつろぐアンゲロプロスの姿を捉えた映像も見所(飼い犬の名前が"エイリアン"ってw)。91年に亡くなった美術監督ミケス・カラピペリスの原画集や、時折映し出される初期作品の撮影風景なども貴重です。なんか若い頃のアンゲロプロスってゴダールそっくりですね(単にサングラスのせい?笑)。最後は新作『エレニの旅』の撮影風景。

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盤質。ビデオ撮り作品なので特に問題なし。それよりも特筆すべきは付属のリーフレットです。アンゲロプロスがナンテール大学の名誉博士号を授与された折に行われた講演「わが終わりのなかに、わが始まりがある」の訳文、『テオ・オン・テオ』の採録、「アンゲロプロス 沈黙のパルチザン」の著者ヴァルター・ルグレの書き下ろし評論(!)「動く映像により開かれる境界」など実に読み応えのある充実した内容になっています。この辺りのこだわりは紀伊国屋書店ならではの魅力ですね。