『真珠の耳飾りの少女』 ■■■

監督:ピーター・ウェーバー

「まあ、いやらしい」と思わず淀長さんのような口調になってしまう映画でしたねこれは(笑)。直接的な描写ではない、暗喩としてのセックス表現。白い頭巾に覆われて全く見ることのできないスカーレット・ヨハンソン演じるグリートの髪の毛が遂にあらわになる場面の官能的サスペンス。針で耳に穴を開けられる場面はあからさまに処女性の喪失(その直後、グリートはボーイフレンドと激しく求め合う)を思わせ、それは『テス』でナスターシャ・キンスキーが主人に苺を食べさせてもらう場面と重なります。フェルメールが「唇を舐めて!」と執拗に繰り返す場面などは思わず赤面しちゃうくらいに露骨な性的メタファーです。要するにこの作品はピーター・ウェーバーによるスカーレット・ヨハンソン視姦映画と言ってほぼ差し支えないでしょう。それを裏付けるかのようにドラマ性や人物造形はシンプル極まりなく、ひたすらキャメラスカーレット・ヨハンソンに肉迫しその魅力を映し出していきます。しかもフェルメールの妻と対立させることで美醜の対比を際立たせる念の入りようです。映像演出は通俗的で何ら新鮮さはありませんが、スカーレット・ヨハンソンの素晴らしさは十二分に堪能できる作品でした。深い二重瞼とポッテリした唇、口元が小さく開かれた時の表情が何ともセクシーです。絵画の「青いターバンの少女」も深い二重瞼で、ほんの少し口が開いています。