『黄金の馬車』 ■■■■

監督:ジャン・ルノワール

アンナ・マニャーニ!この作品ばかりは"ルノワールの"ではなく"マニャーニの"映画と言うしかないでしょう。あらゆる表情、あらゆる所作、声、魅力の塊みたいな女優です。淀長さんはマニャーニのことを「不潔とか、清潔とか、美女とか醜女とかじゃないの、女とはこれだいうね。全身にあふれた女の女の女の香り。この人こそ女性だと思う。わあーと思うね」と語っていますが、なるほど、本作を観て大いに納得しました。総督や闘牛士や士官といった男たちが皆彼女の虜になってしまうのも言わば当然のことなんですね。生命力に満ち溢れた楽しく官能的な極彩色の恋愛活劇。ルノワールの魔法は人物だけでなく窓や扉も豊かな表情を帯びた装置にします。後にヴィスコンティの『ルートヴィヒ』を担当することになるマリオ・キアーリの美術も素晴らしかったです。

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盤質。う〜ん良くありません。S/N、解像度、発色いずれも悪いです。せっかくの色彩美の映画もこれでは台無しですねぇ。さっそく「DVD Beaver」のクライテリオン盤レビューを見てみたのですが、画質のあまりの違いには愕然。もはや別の作品と言っても良いかも。とうぜん購入決定です(^^;


http://www.dvdbeaver.com/film/DVDReview3/renoirbox1.htm#gc