『雲のむこう、約束の場所』 ■■

監督:新海誠

前作よりも格段に作画が良くなっていて、特に美術には目を瞠るものがありました。設定はなかなかユニークだし、新鮮味はないですが時間軸をずらしながら夢と現実が交錯していく構成も悪くありません。カスタムメイドした飛行機の飛行シーンなんて素晴らしかったです(デザインも秀逸)。でも結局、新海誠のアニメは少年と少女の二人だけで完結していく「セカイ系」(またはエヴァンゲリオン系)、つまり二人(きみとぼく)と世界の間に介在する筈の社会が存在しない閉じられた物語なんですね。それが駄目だなどと言う気はないですし、否定するわけでもありませんが、このユートピア幻想的な"セカイ"に何の魅力も共感も感じなかったことは確かです。ところで、全編に渡って流れる文学趣味(ヒロインが眠る病室には村上春樹の「アフターダーク」と思しき本が置かれ、主人公が電車の中で宮沢賢治の「春と修羅」を読む描写がある)の内省的な主人公のモノローグは、声の主が吉岡秀隆なので、これはアニメ版「北の国から」だったのかと錯覚することしきりでした(笑)

***********

盤質。素晴らしい画質でした。短い尺ですがちゃんと2層収録されています。特典として主要キャスト3人と監督のインタビュー映像を収録。本編はアナモ仕様。英語吹替え音声あり。リージョン1。