『無頼の谷』 ■■■

監督:フリッツ・ラング

キスシーンから始まる西部劇というのは珍しいかも?しかし一転、物語は雑貨屋から鳴り響く銃声と叫び声によって復讐という名の曲を奏で始めることになります(ラングが映し取る"手"のアップはブレッソンのように表情豊かでハッとさせられる)。何と言っても強烈なのはマレーネ・ディートリッヒの女のような男のようなジェンダーを超越した悪魔的な存在感でしょう。後半、アーサー・ケネディと野外で語り合うシーンが奇妙なんです。男女が入れ替わったような(まるで『転校生』のように)錯覚を覚える二人の位置関係や所作が倒錯的なムードを漂わせます(ホンマかいな^^;)。彼女が実は悪魔ではなく"嘆きの天使"であったことが分かるラストは感動的です(うわ強引!笑)。「Chuck-A-Luck」という縦置き式ルーレットや、劇中で何度か流れる同名の主題歌も印象に残りました。

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盤質。かなりノイジーで発色もあまり良くありません。ただ『西部魂』にような映像の乱れや音切れはありませんでした。やはり英語字幕は未収録。特典映像も一切なし。リージョンは2です。