『コーヒー&シガレッツ』 ■■■□

監督:ジム・ジャームッシュ

モノクロームと格子模様のテーブル、煙草とコーヒー、妙な人々と妙な会話、そして音楽、これだけの素材があればジャームッシュの小宇宙は広がっていく。シンプルな構図と一定のリズムを刻むカッティング、その反復が何とも心地良い。『ストレンジャー・ザン・パラダイス』以来となるトム・ディチロのキャメラの素晴らしい美しさ。11の愛すべき掌篇の中でも特にお気に入りで何度でも観たいと思ったのはトム・ウェイツイギー・ポップケイト・ブランシェット、アルフレッド・モリーナ&スティーヴ・クーガン、ビル・ライス&テイラー・ミードの4篇。まったり贅沢な気分に浸れる粋な小品。

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盤質。画質良好。非常に鮮度の高いモノクロ映像です。会話が面白く渋いオジサンが沢山登場する作品なので私的には豪華ベテラン声優陣による吹替え版ってのも聴いてみたかったですね。ところで印象的な格子模様のテーブル。特典の監督インタビューでは「俯瞰で撮るとチェス盤みたいだろ?とにかく見た目が気に入ったんだ」と語っていますが、ジャン=ピエール・メルヴィルの『賭博師ボブ』へオマージュを捧げているというのが本当のところみたいですね(下の画像を参照)。ちなみにジャームッシュはイギリスの映画批評誌「Sight & Sound」が2002年に実施したオールタイム・ベストムービーTOP10のアンケートでメルヴィルの『賭博師ボブ』を第4位に挙げています。


 『コーヒー&シガレッツ

 『賭博師ボブ』