『さすらいのカウボーイ』 ■■□

監督:ピーター・フォンダ

ドロップアウター、ロードムービー、辛気臭い物語、緩慢なテンポ、スローモーションの多用、全裸、擬似ドキュメンタリー的なキャメラワーク、ホモセクシャル、アンチ・ハッピーエンド。ニューシネマという巨大な刻印が入った西部劇です。しかし娯楽要素が排除された西部劇ほど観ていて虚しいものはありません。ノーメイクのヴァーナ・ブルーム(最初リブ・ウルマンかと思った)はいろんな意味で衝撃的です。彼女はハリウッド映画の最も非現実的な神秘的な存在としてのヒロイン像を完膚なきまでに破壊するリアリズムの権化と言っても良いかもしれません。確かに画期的だし演技も素晴らしいのですが、個人的には到底受け入れることができないヒロインです。静止画処理による一風変わったディゾルブは面白いと思いました。ブルース・ラングホーンの音楽も良かったですね。