『鬼火』 ■■□

監督:ルイ・マル

陰鬱で繊細、哲学的で厭世的な良くも悪くもフランスらしいフランス映画。とことんシリアスなのかと思いきや、中盤あたりで録音マンやキャメラ台を押すスタッフがショーウインドウに思いっきり映っているシーンが立て続けに出てくるのは、さりげなく虚構性を示しておこうという監督のエスプリなんでしょうか(笑)。でも丁度同じ時期に撮られている似たようなテーマを扱ったロバート・ロッセンの『リリス』の方が映画として数段優れていると思います。『鬼火』には映画的な美しさがありません。