『青の稲妻』 ■■■□

監督:ジャ・ジャンクー

やるせない青春群像。ピンと張り詰めた緊張感が漂う長廻し。エドワード・ヤン(果たして新作は?待ち遠しい!)の後継者が中国にいた。この作家には明らかに「反復の主題」がある。同じ場所同じ構図、TVモニターから流れるニュース映像の数々、同じリズムで果物を頬張る男女、繰り返し流れる歌謡曲と宝くじの宣伝アナウンス、延々と続く平手打ち、延々と押し戻される女など。ところで中盤あたりで主役のカップルが『パルプ・フィクション』のパロディをやった後、終盤近くに監督本人とおぼしき人物が『パルプ・フィクション』の海賊盤DVDを購入する(それも自身の作品『一瞬の夢』と『プラットフォーム』がなかったので^^;)という唐突な小ネタの出し方が妙に可笑しかった。文革トラウマの呪縛から解放されたチャン・イーモウチェン・カイコーといった第五世代の作家が、中国経済の急成長に歩調を合わせるようにヒューマンドラマや娯楽時代劇の大作を撮りまくっているだけに、ストイックで尖鋭的な現代劇を撮るジャ・ジャンクーのような作家の存在は貴重だと思う。