『紅い眼鏡』 ■■■

監督:押井守

和製SFノワールの怪作。内容的には『ビューティフル・ドリーマー』を実写でもやってみましたという感じ。鈴木清順(あとタルコフスキーも)へのオマージュたっぷり。アニメのキャラと同じ異様なテンション、生尻まで晒してしまう千葉繁の壊演が素晴らしい。個人的には玄田哲章演じる公安の刑事が、TV版『パトレイバー』の「上陸 赤いレイバー」(押井守脚本)に出てくる公安刑事の元ネタだったことが分かって妙に嬉しかった。他にも新OVA版の傑作「火の七日間」(これも押井守の脚本)やTV版の珍作「CLATよ永遠に」などにもリンクしていてパトのファンは必見である。「立ち食い」が非合法化されていて、映画館(キネカ大森)のトイレから地下のもぐりの立ち食いソバ屋へ繋がっているといういかがわしさ満点の設定が楽しい。しかもそこには天本英世までいるのだ。少し冗長ではあるけれど、悪夢的な世界に展開されるハードボイルドとスラップスティックの交錯、その出鱈目でバイタリティに溢れた混沌のイメージは何とも魅力的だった。川井憲次の音楽も印象に残る。