『私のように美しい娘』 ■■■□

監督:フランソワ・トリュフォー

ヒッチコックへのオマージュたっぷり、愉快でデタラメな犯罪コメディの粋な小品だ。『あこがれ』で瑞々しい色気を発散していたベルナデット・ラフォンが、快活なあばずれ女として15年ぶりにトリュフォー作品に再登場し、鮮やかなコメディエンヌっぷりを見せてくれる。畳み掛けるようなモンタージュと会話のリズムが気持ち良い。変人ばかりの登場キャラの中ではジェローム・ズカ演じる16ミリ・マニアのアマチュア映画少年ファレルの超おマセっぷりが印象的だった(ファレルという名を当時天才16ミリ作家として注目を浴びていたフィリップ・ガレルに聞き間違えるギャグが出てくる)。ちなみに脚本のジャン=ルー・ダバディトルシエの通訳だったフローラン・ダバディの父親である。