『野性の少年』 ■■■

監督:フランソワ・トリュフォー

野生児の教育過程を観察日記のように描写していく硬い物語と、擬似家族的な愛の形へと昇華していく柔らかい物語がバランス良く両立している。ジャン=ピエール・カルゴル(素晴らしい!)の繊細な表情と所作、それを厳しく温かく見詰めるトリュフォーの真摯な眼差しが感動的だ。夏の太陽光を生かしたハイコントラストな屋外シーンと、白黒でありながら蝋燭の光源だけで撮られたという夜間シーンが美しい。キャメラは本作で初めてトリュフォーと組んだネストール・アルメンドロス